白神案内人 檜森治明
ひもりはるあき。昭和24年生まれ。タクシードライバー歴32年。白神山地ガイド暦10年。タクシードライバー兼ガイドとして活躍する。プライベートでもさまざまな山での登山を楽しんでおり、山歩き経験は20年以上。白神山地への入山経験は200回を越え、一流の白神観光ガイドとして知られている。
白神案内人 檜森治明が語る白神山地の魅力
「季節によってクルクルと変わる白神山地の表情が魅力的です」と、檜森は白神山地の魅力について語った。「でも季節といっても四季だけじゃなく、六季も八季もあるような、短い期間で表情が変わっていくんですよ。その一瞬一瞬が素晴らしいと感じられます。いろんな季節を楽しめますからね。5月に残雪があったり、6月でも咲いている桜があったり、新緑や紅葉の時期ももちろん美しいですよ」
白神案内人 檜森治明が教える白神山地イチ押しスポット
檜森のイチ押しは意外なところだった。「留山のブナ林ですね。それほど山深くもないし、衝撃的にすごい、というわけでもないんですが、あんなに低い標高にあるしっかりしたブナ林を私は他に知りません」。通常、ブナは標高の高い冷涼な場所に生息するが、留山は低い場所にありブナの生息地帯としては異例らしい。「登山というよりは軽いトレッキング感覚で来られますよ。ただ、留山は荒廃を防ぐために白神山地ガイドが同行しないと入れませんので、私たちガイドと一緒に入りましょう」
白神案内人 檜森治明と実際に白神山地岳岱をトレッキングしてみて
まず案内人の檜森治明の年齢を聞いて驚いた。見た目でずいぶん得をしているのがズルイ。一緒に山を登ってみてもっと驚いた。彼のフットワークが見た目よりもさらに若々しいのだ。かといって登山者を置き去りにするようなことはもちろんない。山の説明をしながら笑顔でペースを調節してくれる。次から次へ白神山地にまつわる話が彼の口から飛び出す。そのテンポの良さに、自然と登山者にも笑顔が生まれる。質問をしても丁寧に答えを返してくれるところから彼の誠実さ、そして山への愛情がうかがえる。「ここはマタギが熊を待つ場所に使ってたんですよ!」と言って素晴らしいフットワークで駆け上り、岩のくぼみにしゃがんで見せてくれた。その姿は少年みたいに楽しげで、作り物の笑顔でないことは明らかだった。何度も同じ山をガイドし、何度も同じ言葉を口にしてきたはずなのに、あんな無邪気な笑顔が浮かぶということは、心から白神山地が好きだからだろう。そして観光客にも心から白神山地を好きになってもらいたいと願っているからではないか。